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環八通りを直進。
国道246、玉川通り、厚木街道を通って着いたのは神奈川県平塚市だった。
カレー屋でウインナーとチーズをトッピングして、コーラフロートも。
厚木市に移動して古着屋に入った。そこが僕らの目的地だった。2人で広い店内を見て回って、僕がメンズTシャツコーナーから抜けると彼女が変なハットを被って登場した。商品で遊ぶ姿を見て、彼女の無邪気な一面を見た。その無邪気たる所以である、人を喜ばせようとする精神が当たり前のように彼女の心には宿っているのかと思うと、魅力的だと感心した。
「おんなはみんな、いんらんだから」
作中で目にしたその台詞。そんなはずはない、と僕は思う。確かに、断片的に見たらそう映るかもしれないが、みんな好んでそうなってるわけじゃない。男というバカな生物に唆されて、自己嫌悪に陥る。数々の後悔と共に女は生きている。
それを汲めない人々と、その経験を通ってない人は弱ったそれを見て’’いんらん’’と言う。
人間に生まれた以上、しがらみに埋もれて生きなきゃいけないし、そこから打開するには出家して俗社会を飛び出すしか方法はない。髪の毛は欲しいし、おいしいものはみんな食べたい。小さな幸せたちの代償としてこの世のしがらみがある。
お気に入りのカフェのおいしいチーズケーキ、美容室でかけるパーマ、好きな人に会える土曜日の夜、駅近くにあるおいしい豚汁屋さん、海外で買ったプロレスラーのフィギュア。
そんくらいで我慢しとこう。