moto1201のブログ

日常で思うことを掘り下げます。

胸毛

灰皿が灰で埋まった時、俺は替えの灰皿を頼んだが彼女はオリーブを注文した。

昼過ぎのカフェであの映画がいいだのこの音楽が好きだの、派生して同性愛が難しいとかレストランのトイレが嫌だとか。俺らは何を話してんだと恥ずかしくなりながらも談笑していた。

右に太ももを剥き出しにしたホットパンツを履いた女とその相方(女)、左には人の良さそうな彼氏とその彼女。

 

昔、お祭りのポスターに男性の胸毛が写っていて、それが「不快だ」と訴えられた事案があった。今はSNSのおかげでいろんなものが侮蔑の対象となっている。彼女は口をすぼめて煙を鋭く吐いた後で熱く語った。「歳をとれば老害で、少し幼かったらガキで、髪が少なかったらハゲ。身長が低かったらチビで背が高かったらのっぽ。受けいれられる範囲狭すぎない?」

街を歩けばいろんな人間がいる。その街にもよるが基本は老若男女、古今東西、弱肉強食いろんな奴がいる。なんでこいつはこんなにアホズラなのに部下がいるんだ、とかなんでこいつは生乾き臭いのに彼女がいるんだとか、逆も然りで、こんな可愛い少年がなんでお母さんにひどく叱られるのか、なんでこんな優しいおばさんが貧乏なのか。

人の悪いところを掻い摘んでそこだけを大々的に発表して支持を得るのは人間の悪い癖である。確かに見た目や行動で他人に迷惑をかけることはたまにある。でも彼らにも事情がある。

見た目がグロテスクでもおいしい魚はいる。

その魚に見た目の改善を望むだろうか。どうでもいいだろ。

 

煙の行方に配慮して手を回して、俺が彼女の顔を見ると彼女は何かに気付いたように口からオリーブの種を出した。これもどうでもいい。